『愛と希望の街』〈1959年 日本〉
「TVのバラエティ番組でおもろい事を言う強烈なインパクトの和服のおっさん」—先日亡くなられた「大島 渚」の私の第一印象です。本作は監督デビュー作です。逃げて舞い戻って来る飼い鳩の路上売りを繰り返すバラック暮らしの少年と、ブルジョア少女との交流の物語。靴磨きで日銭を稼ぐ母親、ひたすら動物の死体の絵を描く妹、全くの温室育ちの少女、頭の良い少年を何とか花形家電会社に就職させたい中学校の担任教師、いつピチッと暴走しそうなひりひりする展開の末、飼い鳩が猟銃に撃たれてエンディング。尺が約60分という短さも手伝って、なんか手堅く終わっちゃったな、という感想が、日が経つにつれ「これが現実なんだ」という達観から描いているのかな、と思うようになりました。 〈川喜田映画記念館にて〉